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ジャトロファ事業 - 事業の背景・概要
当社では、インドネシア東ヌサトゥンガラ州フローレス島シッカ県にて、種子から軽油代替燃料となる油脂が採取できる植物、ナンヨウアブラギリを利 用した事業を行なっております。この事業はナンヨウアブラギリを複合的・多面的に利用することで、環境を保全しながら住民の生活を向上させることを目指し た地域開発事業です。
ナンヨウアブラギリ
この事業の中心となる植物、ナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas、 ジャトロファまたはヤトロファとも呼ぶ)はトウダイグサ科の多年生小喬木〜潅木(高さ3〜5メートル)で、その種子から軽油代替燃料となる油脂が採れる植 物です。油脂には毒性があり、食用には適しません。乾燥に耐え、害虫に対する耐性もあって、農地には適さないような乾燥地・荒地でも生育します。
アブラヤシからの油脂も同様に燃料になりますが、アブラヤシは肥沃な土地を使いますので食糧と競合し、また森林を切り開いてプランテーションにする場合が多いのに対して、ナンヨウアブラギリは、未利用の荒地を緑化しながら油を生産できるところが異なります。
インドネシアでは、バイオ燃料向けの作物のひとつとしてナンヨウアブラギリの栽培を奨励する大統領令(2006年大統領令第5号)が出されるなど、最近はバイオディーゼル燃料の原料として注目されています。
事業の背景
この事業の舞台となっている東ヌサトゥンガラ州はインドネシアの中でも貧困層の多い地域で、4人に1人(25.65%)が貧困ライン以下の収入で生活しています(中央統計局による2008年のデータ、インドネシアの全国平均は15.42%)。
また、林業省によれば、同州における2003年から2006年にかけての森林面積減少率は7.04%となっており、全国の州の中で2番目に高い数値となっ
ています。さらに、インドネシア全体の土地は、植物の生存状況により(1)とても痩せた土地、(2)痩せた土地、(3)やや痩せた土地、(4)潜在的な痩
せた土地、(5)通常の土地の5段階に分類されていますが、東ヌサトゥンガラ州は(1)のとても痩せた土地から(3)のやや痩せた土地までに分類される土
地の割合が全国で最も高く、全体の90%以上を占めています。
当社の事業は、その東ヌサトゥンガラ州にあるフローレス島シッカ県という地域で行なっています。シッカ県の年間降水量は平均で 1000〜1500mm(この事業におけるジャトロファ植栽地域は約800mm)、依然として第1次産業(農林水産業)が主流で、57%の労働者が農林水 産業分野に携わっています。電気による照明を使用している家庭は全体の 47.17%、また水道網の普及率(2006 年)も28.09%に過ぎません。
このように、この地域は森林の減少と荒地の増大、エネルギー不足、水不足、貧困などの問題をかかえており、当社ではこれらの問題を緩和するため、以下のようなジャトロファを複合的に利用した環境保全型地域開発事業に取り組んでおります。
事業の概要
- 荒地でも生育可能なジャトロファの性質を生かして、住民が中心となって荒廃した未利用の土地をジャトロファの苗木で緑化します。
- 住民が収穫したジャトロファの種子または果実を買い取り、住民の収入向上に貢献します。
- 買い取った果実は、殻剥き機で殻と種子に分けます。
- 殻はガス化発電の燃料として用いられ、発電された電力は当面の間は所内の搾油・精製設備に供給されます。
- ジャトロファの種子からの搾油・精製工程を経て、軽油代替燃料を生成し、地域の発電所に発電用燃料として販売します。
- 搾油・精製の際に発生した搾りかすは、肥料として農地に還元します。
- ガス化発電の際に発生する廃熱を利用して海水の淡水化を行ない、得られた淡水を生活用水として住民に供給します。