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バイオマス
化石燃料からバイオマスエネルギーへ
20世紀以降の開発や経済発展は、石油や石炭などの化石燃料のふんだんな消費の上に成り立ってきたといえます。しかし、このまま石油、石炭や天然 ガスを燃やし続けると、地球は温暖化をさけられず、海面の上昇、生態系の変調、異常気象、伝染病の蔓延など、取り返しのつかない事態にいたると考えられて います。資源の面から見ても化石燃料の量には限りがあり、次第に希少化して、価格も上昇していくことが避けられません。
環境の限界からも、また資源面の制約からも、これまでのような消費を続けることができないのは明らかです。生産や消費のあり方の見直しとともに、化石燃料への依存を極力減らし、温暖化をもたらさず、かつ再生可能な自然エネルギーへの転換をはかっていくことが必要です。
自然エネルギーの中でも賦存量(経済的技術的に利用可能な資源量)の豊富なバイオマスは、適切に使用すれば大気中の二酸化炭素を増やさないカーボンニュー トラルという特質を持っています。また、気・液・固体燃料に転換することができるため、貯蔵・輸送や、自動車等の輸送用燃料としての利用も可能となりま す。またバイオマスは広く分布するという性質上、分散型エネルギー供給用のエネルギー源として適しており、それぞれの地域の雇用創出や活性化にもつながり ます。
バイオマスエネルギー転換技術
バイオマスをエネルギーとして利用する際の技術としては、大きく分けて直接燃焼、熱化学的変換、生化学的変換の3種類あります。このうち、直接燃 焼では(特に小規模設備の場合)発電効率が低いのですが、熱分解では小規模設備においても効率の高い発電が可能です。またエタノール発酵などの生化学的変 換はトウモロコシなど、糖分やでんぷん質など限られたバイオマスしか利用できませんが、熱化学的変換では木材などの繊維質をはじめ、あらゆるバイオマスを 利用できます。
バイオマスの熱分解をはじめとする熱化学的変換がそのような利点を持つのにも関わらず、その利用が進まないのは、高コストであることと、副生物としてタールが発生することが主な原因です。タールは粘性の高い物質で配管などに詰まり、エンジンなどの故障の原因となります。
バイオマス事業は、以下のバイオマスガス化事業とジャトロファ事業の2つに分かれております。
バイオマスガス化事業
当社では、インドネシアでも容易に入手できる粘土を触媒として用い、その他の材料も現地で容易に入手可能なものを使用することで、低コストでタールの少な いガス化技術を開発しました。得られたガスはディーゼルエンジンを通して発電にも利用できるため、低コストで効率の良い分散型エネルギー源として利用可能 です。
ジャトロファ事業
ナンヨウアブラギリ(ジャトロファとも呼ぶ)は種子から軽油代替燃料となる油脂が採取できる植物で、近年バイオディーゼル燃料の原料として注目されています。また乾燥や害虫にも強く、農作物が育たないような荒地でも生育可能です。
当社では、ジャトロファを複合的に利用することで環境を保全しながら地域の生活向上に貢献する事業を行なっております。この事業は以下の5つの要素から構成されます。
- ジャトロファによる未利用の荒地の緑化
- 採取された油脂からの軽油代替燃料の生産
- ジャトロファの搾りかすからの肥料生産
- ジャトロファ生産〜搾油の工程で発生するバイオマス廃棄物からのガス化発電
- ガス化発電の際に放出される廃熱を利用した海水の淡水化